フロントエンドでみた、情報系ブログとはてブの地獄メカニズム


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ブログ以外での活動をみていただければ理解いただけるかと思うが、私は普段はフロントエンドの界隈にいる。
そのなかで、ちかごろ界隈のインターネットが非常につらいと感じることが多々ある。
他の界隈でもそれなりは見られるが、特にフロントエンドで顕著にみられるその「つらい」傾向を完結にまとめてみた。

フロントエンド地獄インターネットのメカニズム

現状のフロントエンドをみていて複雑な気持ちになるパターンはおおよそ以下である。

全体的な地獄フロー

  1. 何かしら新しい技術が出てくる
  2. Qiitaはてブロ辺りでイケハヤみたいなタイトルの技術系エントリが投稿される
  3. バズる
  4. 使ってもいない人間がニコニコ動画のコメントみたいな発言をする
  5. 地獄になる

誰しもこういう流れをみたことはあるだろう。本当に複雑な気持ちになる人間が多いであろうと思っているため、この「気持ち悪さ」の何が悪いか、どうして起きるのかを自分なりにまとめてみる。

何が悪いのか?

まずはじめに、これらの流れをみて何が悪いのかわからない人間もいる可能性が無きにしもあらずと感じたため、問題点を記しておく。

1.心地が悪くなる

その技術を適切に使える人間が限られているにも関わらず、全員がさも当然のように話すため、各々が知ったかぶりを続けている状況になりながらも、全員言い出せないために全体の居心地が悪くなる。

2.メンテナンスなどに問題が生じる

前述のような状況下で、引くに引けなくなって技術を採用した時、実際に理解できる人が限られるために、完成までも勿論ではあるが、作ってしまった後の処理に困る。 当然といえば当然であるが、適切な知識がないまま運用される技術はリスクが大きい。

3.無闇に周囲への不満を増大させる

最後がこれだ。

半年前の時点で、Reactを実戦投入できている人間は、JSフレームワークトークに花を咲かせる人の中でも、2〜4%。
人々が集まる場所にもよるが、おおよそ25〜50人に一人という割合だ。

まだまだ理解できてもいない上、実戦投入ができる環境も少ないにも関わらず、全体の「使っている感」というものが増大すると、現場への不満が募ってゆく。 「なんでうちはアレを使っていないんだ」「時代遅れじゃないか」「うちはダメだ」といった具合に。

全体によって形成された幻想によって、不満を募らせる人間がそれなりに見られる。
そこに理由もなく、意味もない状態で、各々がただただ不幸になっている。

おおよそこんなところだろうか。 全て自業自得によって引き起こされている問題のようには見えるが、この状況が続くのは非常に良くないと感じているので、次以降はより詳細な、心理ベースでのメカニズムを解明していく。

何故起きるのか?

さて、これらは何故起きるのだろうか。 これについては、登場人物を以下の3つのタイプABCにわけて考えると、全体把握ができると考えている。

  • 技術に造詣が深く、適切に布教を行いながら学びを得ている人間(A)
  • とりあえず見つけた技術で煽り記事を書く放火魔(B)
  • ボヤが出てると近づかずにはいられない野次馬(C)

Aの行動とその心理

初めのAの集団だ。

ざっくり行動

彼らはこの流れの最序盤でしか登場しない。 彼らが行うことは、海外で得た正確な技術情報をキャッチアップし、数少ない日本語資料として共有していくことにつとめている。

彼らは基本的に無害であり、有益な情報を発信してくれるため、日本にいる技術者にとっては無くてはならない存在であり、スターといっても過言ではないだろう。

ざっくり心理

こういったタイプは本当にその方面への技術が好きであったり、それを日本でも流行らせたいと考えている場合も多く、悪意もなければ、BやCのような人間らしさはなく、純粋な技術者といったタイプだ。

彼らは自身の使いたい技術ベースで実績を残していき、かつそれを実践するためにキャッチアップの意欲は高く、今後のために有益な情報を積極的に残そうとするため、全般的に人々にとってありがたい役割を率先しておこなってくれる。

Bの行動と心理

次はBだ。

ざっくり行動

彼らはAの情報や、Aの情報が拡散されたものに非常に敏感だ。 情報を得ると、その鮮度を重要視し、得た情報をとりあえず自身のブログに書き出す。 この時彼らは、殆どの場合ロクにその技術について触れていない。せいぜいサンプルを少し触る程度だ。

タイトルは十中八九、「<新しい技術A持ち上げ> <既存の技術B貶し>」。 内容は閲覧したサンプルを文言を変えるなど適当に。もしくは海外記事の内容を2割ほどに薄めたものを用意する。 その上で残りの8割で実現不可能な夢物語の自分語りをはじめる。 そうした後、最後に「AがあるのにBをしているやつはダメ」といった形でエントリを〆る。 アーリーアダプター気取りではあるのだが、如何せんその立場になるにはターゲットへの理解が低すぎる傾向にある。

ざっくり心理

彼らは基本的に流行に敏感であり、世間の流行に遅れを取ることを嫌うタイプだ。 流行に乗ることこそが正義だと考えており、そこについてこない人を否定することに抵抗が全く無い。 その上で厄介なもので、彼ら自身が見て衝撃を受けたものは全て自身の世界では既に流行として認知してしまっているため、周囲が馬鹿に見えて仕方ない様子だ。

そういった思考から、特にマーケティング的に意味があるわけでも、商業として成功しているわけでもなく、ただただ、シンプルなマウンティング用途として、 それらしいイケハヤの文体を真似したようなタイトルに、ありったけの煽りを込めたエントリをPublishしていく。

Cの行動と心理

最後にCだ。

ざっくり行動

彼らはBの発信したエントリを真に受け、積極的にはてなブックマークにコメントを残していく。また、この時語彙力が不足していることが特徴となる。 彼らがシェアするエントリのタイトルといえば、「◯◯を使っていない人はもう古い!△△の□□!」といったものが多いだろう。 また、それこそ「まだ◯◯を使っているの?」といったものも多い。

彼らはその同類の数を活かして、はてなブックマークとそれと連携したソーシャルアカウントを利用して仲間を増やしてゆき、 「◯◯を使っていないといけない」という風潮を作り出す。なお、彼らは基本的に、この時点で実際に技術に触れてはいない。

その後、ソーシャルネットやIT系セミナー・勉強会にて、まだ使っていない技術を褒め称え、使っていない人間を貶す。 なぜなら彼らの見ている世界には、自分以外に流行に乗っていず、触っていない人間はいないからだ。

ざっくり心理

彼らは大衆だ。大衆以外に形容できないだろう。 先を見ているわけでも、ただとりあえず周囲の流れに身を任せ、たとえそれが有益であったとしても、調和が崩れることは悪とみなす。 また、彼らは嘘つきだ。例として身近なものを上げると「お前アレやってるよな?」と聞かれて、やってもいないのに、「当然だろ、やってない奴はいないだろ」と返してしまう。 みんなが位置情報ゲームをやっていると、興味をもつわけではなく、周囲がやっているものをやっていないという恐怖感から位置情報ゲームをはじめ、周囲が遊んでいる間はプレイしていない人間を貶し、流行りがすぎるとプレイしている人間を貶す。 常にマジョリティでないと気がすまないタイプだ。

彼らが技術界隈で生きていると、「実用性がまだなかったり、完全に理解していないとうまく扱えない新しい技術ではてなブックマーク数が多いもの」を信仰し、その技術を使っていない人間を迫害する。 そして彼らは基本的な概念も理解できないまま、分からないが故に現場での技術布教ができるわけでもなく、ただただ「うちの周りがわかっていない」とだけ言い続けるのだ。

ざっくり心理状況総括

さて、これまでで各種パターンについて書き連ねてみたが、これによって全体の流れがつかめた気がした。
自分なりの「何故起こるのか」の結論はこうだ。

先をゆく優秀な技術者群Aが正しい知識を海外から日本に取り入れる

少しでも流行りに先に乗りたがり、かつマウンティングを好む集団B群が煽動記事を公開し、理解してもいない状態でマウンティングを続ける

B群があまりにも当然のような口調で実用不可な状態の技術について雄弁に語るため、
「ひょっとして実はみんな使っていて、自分が遅れているのでは」といった強迫観念に駆られた大衆C群が、とりあえず知ったかぶりを続ける

A群以外だれもまともな技術についての理解がないまま、全員が知らないのに知っている顔をして人を馬鹿にし続ける。

他の世界ならまだどこかで歯止めが効くのであるが、
変化が早いフロントエンドでは、B,Cがまともな知識を身につけるまでにかかる時間<新しい技術が出る間隔となっているため、それすら難しい。

全体的にフロントエンドの界隈のスピード感や雰囲気を見たことがある前提で書いてしまっているため、そこを知らない場合は心理状況を理解しきれない場合もあるかもしれないが、その点については説明をしていると、悪くはないがきりがないため、今回は割愛している。

全体を通してみて

さて、まぁこういった形と、そのモヤモヤ感をざっくりとしてではあるが理解してもらえたら嬉しい。

一個人としての意見ではあるが、本当に新しい技術を真面目に使いたいのであれば、持ち上げて布教活動を行うより、圧倒的に新しい技術が使える環境へ移る努力を進めることをオススメする。

幸い、環境を例えば職場に絞ったとしても、Web業界は比較的人のトラフィックも多く、転職も頻繁にある業界であるため、スキルが伴っていれば環境を変えるのはそう難しくない。

ゴタゴタ言って優位に立つことに満足して良いのは、それで飯を食うだけの技術力があるか、それで飯が食えるだけのメディアを運営している人間だけであろう。

さいごに

長く体裁の整ったフォーマットでテキストに書き起こすということが苦手ということもあり、理解しがたい部分があるかもしれないので、そういった点はコメントを頂ければ返信に尽力する。